キャッシュフローの重要性 失敗から学んだこと



「キャッシュフローの重要性」と書くとビジネスのことかと思われがちです。それももちろんありますが、家計という視点から見ても同様です。筆者が愛読するロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さんシリーズ」(お勧めは「金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法」)にはそのあたりが強調されていますが、ある事件に巻き込まれてキャッシュフローの重要性の意味を実感しました。

キャッシュフローの確保がファイナンシャル・フリーダム

キヨサキ氏の目指すところは「ファイナンシャル・フリーダム」つまり、「働かなくても十分暮らしていける状態」を目指すことです。誰もが老後を迎えることを考えれば、これはほとんど誰にとってもゴールとなることです。

普通の人が目指すのは、年金、あるいは老後の備えとしての「十分な貯金」でしょうか。私も同様でした。特に海外に暮らす時間が長く、日本の年金システムから外れてしまっている私には、自分で貯めておくことが一番重要なオプションに思えましたし、幸いに海外在住中は比較的高給を取れましたから、そうしておけばよい、と考えていました。

私が仕事を始めた1980年代はバブルで金利も高く、年5%は普通、時には7%、8%という金融商品が元本保証で出ていました。そのとき私が考えたのは、金利生活者を目指し、このサイトのテーマになっている「1億円貯めよう」でした。1億円あれば、年5%で運用できれば500万円。利子課税を除いても400万円が手に入りますから、利子所得で何とか暮らしていけます。

ところが、1990年代、そして2000年を過ぎるころには超低金利。年に500万円を利子で受け取るには予定の1億円ではとても足りず、10億円でも不足、下手をしたら100億円持っていないといけないような状況になってしまいました。普通の人間に1億円貯めることは、何とか可能かもしれません。住宅に数千万円使わなければ多くの人の生涯賃金で可能なはずですが、10億円、100億円では話になりません。

銀行預金の盗難

そしてさらに悪いことに、海外の銀行に入れてあった預金を盗まれてしまったのです。私は銀行の倒産などにも備えて分散しなくては、と思い、海外で働いて得た貯金を二つの銀行に分けたのですが、その一つが見事に犯罪被害(多分内部犯行)にあって20年間働いてためたお金の半分を失いました。

「人生こんなこともある」と自分の不運さに原因を求めたのですが、次第にそうではなかったことに気がつきました。不運だったのではなく、自分自身がやっていることの危険性に気がついていなかっただけであったことが次第にわかってきました。それに明確に気づかせてくれたのはロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法」です。

氏はいつものように「キャッシュフローを確保するように」ということをこの本の中でも説いています。頭ではわかっていましたが、犯罪被害にあい、それからこの本を読んでいて始めて自分のミスに気がついたのです。

話は変わりますが、日本でも老人がよく財産を騙し取られる、怪しげな金融商品などを売りつけられて財産を失う、ということが良くあります。なぜでしょうか?もちろん預金などの形で持たれている金融資産が大きいからです。

私の場合も銀行に入れてあったお金は将来のためにキープしていたものですから、動きが少ない。額はまとまっている。ということで、犯罪者に目を付けられやすい状況にあったのだろうと思います。つまり将来の安心を確保するためにやっているつもりが、実際には危険度を高くしていたわけです。何のことはない、お金を騙し取られる老人たちと同じリスクにさらされていることに気がついていなかっただけだったのです。

無論多数派の老人はこのような被害にはあいませんし、確率から言えば私があったような犯罪にあう人の数も決して多くはないでしょう。運のよしあしはあります。しかし、可能性という観点から考えると、多額の預金を目指すという方向は、非常に危険が高いのです。今現在なら、もう少し安全な場所に移すこともできるでしょうけれども、歳をとって自分の管理能力が衰えてきたときのことも考えると、誰もが同じ危険性に直面する、と考えた方が良いと思います。

要は泥棒に多額の授業料を払って、自分の考え方やさらされている危険度において、ぼけ始めた老人、歳をとってからすべてを失ってしまう人たちと、同じレベルであったことを学んだわけです。泥棒だけが悪いわけではない、危険性に気がついていなかった自分も悪かったわけです。私の貯金戦略では、低利になればなるほど、総額を増やして危険性をさらに高めるしかオプションがなかったのですから。

キャッシュフロー重視への転換

さて、私の場合、利子生活者になる、という計画は、低金利時代が来る可能性、そして多額の貯金は犯罪者を呼び寄せるという可能性から、決してオプションとして良い物ではない、と判断するにいたりました。

ここでまたキヨサキ氏が書いている内容を見てみましょう。氏は「多くを所有する必要はない」と繰り返し書いています。私の考えていた戦略は、なるべく多くを所有して、将来に備えよう、というものでした。キヨサキ氏はこれに対して「キャッシュフローを確保する」ことの重要性を強調しています。つまり確保すべきは総額ではなく、確実な毎月のキャッシュフローである、と。私の作っていたのは総額を示す資産表、でも毎月確実に得られるキャッシュフローの表ではありませんでした。

キャッシュフローというのは、流れ込んでくる収入のことです。もちろんどこかに勤めている間は給料がキャッシュフローになります。問題は、引退とか退職とかで、給料からのフローは止まるときがくる、ということです。自分の年齢や健康状態にかかわらずとまらないフロー、十分な額のフロー、そして銀行預金などよりも安全なフローの源をどうやって確保できるのか?ということをやはり真剣に考える必要があると思います。

キャッシュフロー関係の本は「本を読む」サイトで紹介しています。