ソーシャル・レンディング



ソーシャル・レンディングとは

昨今次第に注目を集めてきている金融の仕組みに、ソーシャル・レンディングがあります。ソーシャル・レンディングは一言で言えば、銀行などの旧来型の金融機関に一旦投資家(預金者)の資金を集めるのではなく、ソーシャル・レンディングの金融会社を経由して、直接的に借り手にお金を貸す(あるいは出資する)手法のことです。

銀行の場合、貸し倒れのリスクは銀行が負い、お金を預金する時に保証された金利が預金者に支払われます。安定はしている代わりに、もっとも大きな利益は、リスクを負い、システムを回している銀行が得ることになります。当然ですね。

一方、ソーシャル・レンディングは、株式などと同じように、投資家・出資者が貸し倒れの場合のリスクを負います。このため金融会社の側は安い手数料で運営することができ、従って、投資家・出資者の取り分は(貸し倒れがなければ)銀行預金などに比べて大幅に高くなります。

例えば消費者金融の一般的な貸付金利は15%程度。無論その中で貸し倒れも生じるわけですが、仮に金融会社が貸付金利の内の5%を手数料として取ったとしても、残りは10%になります。これをソーシャル・レンディングの仕組みで提供できれば、投資家・出資者が受け取る利回りは10%にもなります。利子課税で2%差し引かれたとしても、手元に8%が残ります。

ソーシャル・レンディングのリスク分散

銀行預金とは違い、元本保証のないのがソーシャル・レンディングですが、リスクを抑える仕組みが全くないわけではありません。ソーシャル・レンディングにも複数のタイプがあり、それぞれリスク・コントロールの程度や仕組みには違いがありますが、共通しているのは、少額からの投資ができる点です。

例えばある借り手が「100万円借りたい」と言っている場合、誰か特定の投資家一人が100万円貸したら、貸し倒れが生じた場合の損失をこの投資家一人が丸ごと被ります。ソーシャル・レンディングの場合は、投資対象がファンドとして提供され、自分が希望するファンドを一口1万円からとか、2万円からとか、少額の金額に分けて投資できるようになっています。

つまり、「このファンドに5万円」というのを20の異なるファンドに分散して、合計100万円の投資を行うことができます。仮にファンドの期待利回りの平均が8%、貸し倒れ率が1%だとすると、自分の持っているファンドすべてが貸し倒れになる、ということはまず起こりませんから、期待利回りは7%くらいを確保することができます。

また、借り手が比較的少額の金額を借りる場合、複数の借り手をまとめて一つのファンドにする、ということも行われています。つまり、一つのファンドの中に10人、100人の借り手がいる、というような形です。こうすることによって、仮に返せない企業が発生したとしても、ファンドの利回りが若干下がるだけで、元本割れの事態が生じる確率は相当に低くなります。

ソーシャル・レンディングの比較 3つのタイプ

現在市場に出回っているソーシャル・レンディングには大まかにわけて3タイプがあるようです。

一つは、消費者金融を利用しようとする主に個人を対象としたファンドを組むタイプ。複数の借り手を一つのファンドにまとめ上げてリスク分散をしています。また、借り手のリスク評価を行い、収入の額が高いなどリスクの程度が低いグループは金利が低く、相対的にリスクが高いグループには金利を高くするような仕組みが導入されています。リスクが高い、と言っても、投資不適格者は最初の審査で落とされていますので、超ハイリスクな金融商品にはなりません。

次は、企業の比較的短期の資金ニーズに応えるタイプです。企業は業績が良くとも、一時的に手持ちの現金が底を突く、といった経営上の問題が生じる場合があります。そのような場合銀行借り入れを行うのが一般的ではありますが、よほど信用度の高い大企業ならともかく、いちいち銀行の審査を受けて、それでも借りれるかどうかわからないのでは企業側は困ってしまいます。それなら若干金利が高くても、短期間の借り入れならば利子として支払う金額はさほど大きくなりませんから、もっと迅速に借りられる金融サービスを使いたいと思うところが出てきます。

例えば不動産会社が、良い売り物件を見つけた。リノベーションすれば高く売れる。でも、買い取るための手持ちのキャッシュがない。そのような場合には、その不動産を購入する分のキャッシュを一時的に確保できれば、半年後、1年後に売却するまでの間だけ金利を支払えばよい、ということになります。20%の利益が見込める物件であれば、年利10%の金利でお金を借りても十分な利益が出ます。

もちろん「この不動産物件が、思ったように売れなかったら?」ということは実際に生じる可能性もあります。そのような場合には、通常不動産自体がファンドの担保になっていますから、ファンドの側で不動産を差し押さえて売却します。無論そのような事態が生じた場合、元本割れになる可能性もありますが、元本がゼロになることは稀です。

三つ目は、特定のプロジェクトに出資するタイプです。例えばある企業が「北海道に新たな有機農法の養豚場を開設する」「信州に小規模な水力発電所を作って売電する」というような場合。ファンドの対象になるのは、そうした特定のプロジェクトで、投資の利回り追求と言うよりも「このプロジェクトに興味がある」「このプロジェクトは応援したい」と考えて出資する場合が多いようです。つまり、社会性の高いプロジェクトを応援するための資金調達、という色彩が濃いですね。

三つのタイプを実際に利用して比較してみました。やっていて一番楽しいのは特定のプロジェクトに出資するタイプです。事業内容がわかりますから愛着もわきます。ファンドによっては投資家特典もいただけます。ファンド自体は元本割れで終わっても、投資家特典の分を含めると、利益になる、ということも良くあります。ただし、思った以上に元本割れが発生します。最悪、元本の2割程度しか返ってこなかったことも。私はミュージックセキュリティーズを利用しています。

一番利益が大きく、安定しているのは二つ目の、企業の短期の資金ニーズに対応するタイプです。今までやった限りでは、ほぼ約束された利回りで運用されていますし、ファンドの数も多く、運用が容易です。純粋にお金を増やしたい人にお勧めです。私はManeoを利用しています。そのほかにもいくつかの企業がサービスを提供していますが、管理が面倒になりますので、今のところManeo一本です。

個人に貸し付けるタイプは、手間がかかる割に利回りが伸びませんでした。AQUSHというサービスを利用していましたが、現在では新規の募集がほとんど出ない状況です。手間がかかりすぎるのでは、とにらんでいます。